『ヨーガスートラ』の瞑想②心を観る力、心を扱う力を養う術
「ジャパ瞑想」 具体的にどんな瞑想?
自分の意志で心を定める行をしながら、
同時に心の動き、独特の振舞いに気づき、受け入れ見守り、
自分の心を道具としてしっかり扱えるようにするための瞑想法です。
具体的には、心を定める対象として1つの音、マントラ(聖音)を使います。
マントラという音を、考え、認識、知覚、判断する場所、
つまり知性の中心(考えが生まれている場所)において繰り返します。
繰り返すマントラを通して心を観て、
心がマントラから離れる度に、マントラへ意志で戻ってくるという、
まさに
気づき(観る力)と意志力を鍛え上げるための
心を収める練習法。
マン मन् という音は、考えるという意味があります。
トラ त्र は、道具という意味。
私たちの考え、考えが集まり流れる心という物を、
意志の元に定めるための道具がマントラमन्त्र。
瞑想のためのマントラは、『ヴェーダ(聖典)』の中に示されている音を使うと、
瞑想を深めやすく、様々な瞑想のメリットが発揮されてくるといわれます。
数あるマントラの中でも『ヨーガスートラ』は、
イーシャ、イーシュヴァラ
と呼ばれる“自然の摂理”そのものの呼び名を使うといいと、
お薦めしてくれています。
瞑想のマントラ
オーム イーシャーヤ ナマハ
ओम् ईशाय नम:
(自然の摂理に小さな自我や苦悩を明け渡します。)
イシュ इश् 統率する
風、水、光、熱、など自然界にある様々な秩序を動かし、
世界の森羅万象を司る摂理そのものに、
小さな自分だけのこだわりや囚われてしまう自我を預け、
苦悩を手放し、
摂理と一体化するための術。
それが意味をもったマントラを用いる瞑想、ジャパ瞑想といわれます。
いつやるといいのかなぁ?瞑想の時間
お薦めの時間は、朝。
1日を始める前に、心を澄ませるための簡単な朝の儀式として行うことができます。
次にお薦めなのが、夜寝る前。
1日の内で起こった出来事や思いに引きずられないように。
今日1日散々使い倒した体をお風呂で洗い休めるように、
心も一度洗い流すようにジャパで浄化することができるそうなので、
寝る前の行事として。
穏やかに過ごせる時間を10分間、
自分のために確保し、
毎日歯を磨くように、自分の生活の中に自然に溶け込ませ、
心のメンテを淡々と実行できるようにするのがいいそうです。
それ以外にも、マントラを繰り返すジャパ瞑想なら、
ちょっと疲れたときや、心が落ち着かない時、
電車やオフィスでも少しだけ目を閉じて、3分くらい行うことができます。
声をださなければ、怪しまれませんしね~
私も街中で、仕事場で、乗り物の中で、思わず煮詰ってしまった時は、
静かに目をとじ、密かにバレないように瞑想に講じていることがござりまする・・・
どこでやるといいのかなー?
瞑想の場所
清潔で、静かに座るスペースがあればどこでもOKです。
部屋の片隅でも、本棚の間でも、静かで落ち着ける場所であればOK・
床の上に座らなくても、椅子でも、ソファでもよし!といわれています。
しかし、いくらリラックスしているからといっても
布団の中で横になったまま、とか、
物置、とか車庫、とかはなし・・だそうです。
横になると条件反射で寝てしまうし、
やっぱり雑な環境でやると落ち着かない・・・
何かやり始めると、環境が気になって掃除に走ったり、
切羽詰まった時に限って、突然の整理整頓魂が燃え上がり、
断捨離熱に突き動かされたりしたことはありませんか?
(私はよくありますが・・;;)
それは、やるべきことを前にして、
そこから逃げるための格好の理由を環境にみてしまうから。
なので、今やるべきこと、つまり瞑想以外の事に心が掴まれてしまわないように、
ある程度さっぱりと、落ち着いた場所でやるといいといわれます。
やり方は?
マントラという音を繰り返し、心の流れを1つに収めます。
無理に心を1つに縛るのではなく、
マントラを通して自分の心の振舞い、心という物のあり方をみることが大切です。
マントラを唱えると、心が移ろい、動いてしまう瞬間を目撃します。
「あ、今ずれた。あー心が別のことに奪われたなー」
そんなことに気づきます。
心の振舞いに気づき、心のやっていることをそのまま受け入れます。
「ああ、今、自分の心はマントラと全然違うところにいるよなぁ~」
と。
その時、
「おお、なんてことだ!雑念に奪われているではないかっ!」
とか、
「いかん、またうたた寝を。うがー」
などと、
自分の心の振舞いを責めない。
心のすることを責めないことが肝心。
雑念や眠気は、瞑想をしていてもしていなくても、心が起こす自然な振舞い。
当たり前のことです。
雑念や眠気、妄想を、悪いこととなんて一切思わず、
ただ淡々と
「心が今為すべきことからずれてるな。じゃ、ここは頑張って戻そうなっ!」
と、
意志で心をマントラに連れ戻してあげるようにします。
ただただ、ありのままの心の振舞いに気づいて、引き戻す。
これが、意志で行う瞑想です。
この実践が一定期間積まれると、
自分の心のやり方や、ブレ度が解り、
ではブレブレのとき、彷徨うときはどうすればいいか?
対処法がみえてきます。
心を見守りながら、受け入れ、
そんな心を扱う技術に長ける。
すると、
心のやることにいちいち腹を立てず、
思い通りにならないことに対して、悲しまず、怒らず、
ただ起こっていることを受け止める悠遊とした態度を養うことができます。
そのゆとりと大きさは、まずは自分の心から。
自分の心の振舞い、ありのままを認め、受け入れ、許せるように、
見守り、導くことができるようになると、
他人の心の振舞いもまた、暖かく絶妙な距離で受け入れ見守る
大きさと寛容さが現れる、と
そんな風にいわれています。
心の広い大きな人に、
日々の瞑想の修行は私たちを成長させてくれる。
そんなわけです。
わたくしめは、毎日自分を見守り、励まし、
時に戦い、惨敗し、
「ああ、いつかわたくしも、懐の深い、大きくやさしい人間になれますように・・・・・」
と夜空のお星さまに祈ったりするわけです。
日々是修行、修行なり。
次回は具体的なジャパ瞑想の手順、効果をご紹介!
いやいやいや、
読むだけじゃなく、
実際にジャパ瞑想してみたい、
もっと話を聞いてみたい、
そんな風に思われた方はぜひ、
に足をお運びください。
このあたり、全力で説明させていただこうと、思っております。
拝
| 向井田みお | 固定リンク
「向井田みお:ヨガ哲学の旅」カテゴリの記事
- ヨガ哲学の旅(2010.03.19)