野良ニャンとホームレス
いつぞや我が家の庭に出没していた♀子猫、ブログに書いた翌々日から姿を見せなくなり早1ヶ月半。テリトリーを変えたのか、保護されたのか、死んでしまったのか、あるいは年明けにも大きなお腹を抱えてヒョッコリ姿を現すのか。はぁ〜。
この子を探している内に、近所の公園で新たに♂子猫2匹に遭遇。真っ黒なのと、白黒ソックスなのと、どちらも推定3ヶ月くらい?
この2匹にホームレスの男性が毎日ゴハンをあげにやってくる。
大きなクリアケース(衣装ケースみたいなの)を荷台に積んだボロ自転車に乗って、夕方ほぼ6時に公園へやってくる。何かの仕事でお金を得ているようで、毎日たくさんの猫缶がクリアケースに入っている。どうやら他の場所でも野良にゴハンをあげているようだ。
最初に私が声を掛けた際、この男性はとても恐縮していた。
こんばんは!と挨拶しただけなのに、ベンチからスクッと立ち上がって「スミマセン!この子達が食べ終わったら皿は必ず片付けますので。迷惑はかけませんので」と一気にまくしたて目を合わせてくれない。いや、そ〜じゃなく(笑)。実は私も心配になってゴハンをあげに来た旨を話したら、ようやく警戒心を解いてくれた。
以来、この男性とよく話すようになった。それでも彼が話すのは猫の事ばかりで自分の事は話したくなさそうだ。こちらも彼に対しての好奇心はグッと我慢して猫の話に終始する。
この男性がちゃんと6時に来るのかどうか気になってしまい、この1ヶ月半余りというもの、週に4回くらいだろうか、一時帰宅できる日はできるだけ帰るようにしている(爆)。だって黒&ソックスのチビ野良コンビは4時頃からずっとベンチで待っているのだ。そのひたむきな姿を見ると、もう気になって気になって仕方ない。これから毎日あのチビ達が死ぬまで続けられるのだろうか。他の野良が増えても猫缶はまかなっていけるのだろうか。その覚悟はできているのだろうか。もちろん頃合いを見計らって去勢手術をさせたいと申し出ようと思っている。男性はどんな反応を示すだろう。
いつぞや冷たい雨の日。さすがにこんな日は彼は来ないだろうと思っていた。日雇い仕事も無かったかもしれない。雨では自転車にも乗れない。(ところで彼はどこに住んでいるのだろう?いや家はないにしてもどこを寝ぐらにしているのだろう?そんな事すら私は知らないのだ。)いよいよ今日は私の出番だ、私がゴハンをあげなければ。いや、でも万が一、彼がわざわざやって来て、もし猫たちが既に満腹だったらガッカリするにちがいない。それがキッカケで次回から日参しなくなってしまうかもしれない。
ヤキモキ悩んでいるうち7時頃に雨はあがり、いつもより1時間遅れて彼はやってきた。私はコンビニ帰りに公園へ寄りました〜みたいに白々しく偶然を装い「あれ?もう今日は来ないかと思ってました」と言ったら、「あはは。大丈夫ですよ、必ず来ますから」と、相変わらず外見に似つかわしくない丁寧な言葉遣いで返してきた。
チビ野良コンビは彼のドカジャンの中にすっぽり納まり、遠くまで聞こえるほど大きくゴロゴロ喉を鳴らしている。彼も思いっきり首を傾けて3人(1人+2匹)でオデコをくっつけあってる。家を持たない者同士にしか分からない、互いを慰め合い癒し合い暖め合う姿を見せつけられた気分。私が入る余地はなかった。
本当ならこの男性と曜日ごとに担当を決めてしまえば話は簡単だ。今のようにヤキモキしながら様子を見に行く必要もない。このままでは非合理的なだけではなく、私の態度はどこか傲慢で不健全だ。しかし、あの3人だけの世界を見た後では、やはり彼に任せられるうちは任せてしまった方が正解だと思えるようになった。それをご都合主義と言われても構わない。
せめて私ができる事として、ごくごくたまに失礼のない範囲で袋いっぱいの猫缶やカリカリや紙皿を彼に渡している。彼は「恐れ入ります」と素直に受け取ってくれる。この丁寧な物言いをする彼の誇りを傷つけないよう、私が渡すのは猫の物だけ。彼に対して施しをあげる事はしていない。しかしやはり寒さが厳しくなってくると、日ごとに彼のホームレス風采度がアップしてくる。先日は初めて彼自身の為にホカロン徳用パックを袋に入れてしまった。この人には元気でいてもらわなくては困る。あのチビ野良コンビの為にも、彼が巡回しているという他の場所にいる野良ニャンの為にも。この冬、無事に元気に生きのびて欲しいと思う。
12月 10, 2007 ネコ(あるいはネコ的なもの)未分類 | Permalink
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コメント
ACOさん!ここ寒~い日が続いて凍えてましたが、
ほっこりとあたたまる話をありがとうございます。
でもその男性、クリアケースにたくさんの猫缶いっぱいで登場するってことは?
意外と・・・?なーんてことはないですかねっ!
投稿: warna-warni | 2007/12/10 23:44:54
warna-warniさん、そっか!?そ〜ですよね。うん、そ〜なのかも。人は見かけじゃ分からないもの。いつか彼を尾行してみたい気がムクムク。笑
投稿: ACO | 2007/12/11 0:40:57
…こういうとき、難しい選択を迫られますよね。ACO先生の葛藤、少しかもしれませんがお察しします。
やさしさが相手を傷つけたり、しかし現実に外はムチャクチャ寒いし… 猫たちにも生き延びてほしいし…
遠くで見守るのも愛情なんでしょうね…。と、大げさに考えてみました。ごめんなさ~い(笑)。先生も風邪ひかないでくださいね~!
投稿: イタチ | 2007/12/11 0:47:45
ACOさんは、本当にすばらしいですね。泣けてきます(ウルウル)。
投稿: こーいちろー | 2007/12/11 0:49:53
なんか、その方の気持ちわかるな〜。
将来の自分もかもしれないな〜と、、、、
でも、どんな形にせよ、小さくても言葉を話せなくても
ちゃんと一生懸命生きてる者への敬意を忘れないその方やACOさん。
人として大切なもの持ってますよね。
そのチビッ仔達かわいいんだろうなぁ。どうぞ、元気に
できればいつまでも仲良く過ごしてほしい。(切に)
投稿: tomomi | 2007/12/11 2:07:24
ノラの為に何もしていない私ですが、
そういう話を聞くと、ホッとします。
猫が恩返しにそのおじさんに小判をザックザック
持ってきてくれるといいなぁ。(Aco先生にもね♪)
投稿: トロの母 | 2007/12/11 10:23:27
いいお話をありがとうございました☆
うるっときました。
うちの実家でもよく捨て猫を拾ったり、
捨て猫にえさをあげたりしてたので、
なんだかとても懐かしく、そして嬉しくなりました。
でも「捨て猫にえさを与えないで下さい」と言う方もいるので、
どうするべきなんだろう・・・と悩んだことがあります。
とにかく、手術までしてあげるということはなかなかできないことだと思います。尊敬デス・・・。
寒い冬をなんとか元気に過ごしてほしいですね!
投稿: 南国陽子 | 2007/12/11 10:24:48
ACO-san 私は会社でデスクランチしていてよくACOさんのブログをランチタイムに読んでいますが、いま読んで感激して涙がポロポロ出てしまいました・・・
ACOさんのその選択した方法が私も一番良いように私も思います。 ACOさん精神が私は本当に好きです!
投稿: AKI | 2007/12/11 12:40:31
ako先生お久しぶりです。いやぁ、読み始めたら食い入るように読み進んで、涙腺がウルウル。目頭に熱いものが。私は先生が大好きです←あらためて告白。素直な感情とその行動。本当に大好きな考え方です。ちょうど、この間のスーパーの駐車場にいた子猫、まだいるかなぁ?って気になって。akoさんを思い出して来てみたらこの記事。しかも、自分のほうでも息子が熱を出したりでまたまた考えさせられることがあり(yahooに記事りましたので)、人と人との繋がりだったり、助け合いだったり。自分の思い込みと戦ったり。やっぱり大きな愛情だったり、執着をしない素直な感情だったり。共通する気持ちの流れに、離れたところでakoさんも、似たような気持ちをどこかで流していたんだと思うと素敵な偶然に、よりいっそう嬉しいです。
猫ちゃんもホームレスのおじさんも元気でこの寒い冬を乗り越えられたらいいですね。
余談ですが、私もこのあいだスーパーのところに迷い犬のチラシが張ってあり、おもいっきりアナログな広告だったので、『あぁーー、この人、役所が犬を保護したら動物愛護センターで1週間保護されて、飼い主が引き取りにこなければ薬殺されてしまうことを知らないんだろうな・・・。ネットで調べたりできないんだろうなぁ。動物愛護センターの存在を教えてあげなくちゃっ』と思い、全く知らないその人に電話をしてみたことがあります。あのワンちゃん、みつかったかな・・。
投稿: akinasu | 2007/12/11 13:16:58
イタチさん、同じニャン好きとしてこの気持ち分かっていただき嬉しいです。ホント、これは微妙なスタンスを要求されます。でもイタチさんが書いてるように、現実として外はむちゃくちゃ寒い!この非常に単純な事実と、人と交流する微妙な距離感との兼ね合いは難しいっす。
こーいちろーさん、いえいえ、私なんてダメダメのご都合主義です。これから少なくとも後10年、あの男性が日参し続けられるのか正直全くアテにしていません。ダークな心のズルい女ですわ。
tomomiさん、>将来の自分かもしれないな〜
やめて〜!! tomomiさん、そして私自身、ウチらの場合はシャレにならないから。せめてその時は、ママチャリ2台連ねて仲良く回りましょう(爆)。
チビっ仔達の様子を思い浮かべるtomomiさん、すごくリアルに思い描いてくれてるんだろーな。うるっ。
トロの母さん、猫に小判というぐらい、キャツらはアテにはできません(笑)。でもそこがまたイイんですよね〜。何もしてくれるわけじゃない、ただ存在してくれる、それだけでこちらを幸せにしてくれる。。。とは言え、万一キャツらが小判を持ってきてくれたら、もちろん大歓迎ですっ!!
投稿: ACO | 2007/12/11 15:16:41
南国陽子さん、そちらの実家での猫への接し方、もう私の理想です。都会では何かと問題が多くて厄介ですよね。でも東京で野良猫が人からゴハンを与えられずに生きのびるのはもはや不可能。ゴミ箱あさりやネズミや昆虫というのは無理です。本来この世に野良猫はいなかった、全ては誰かが捨てた1匹の猫から始まった。かといって誰もが猫好きとは限らず、多大なる迷惑を被っている人が多いのも事実。自分ができる事は米粒ほどにもならない、ホント限られてて情けなくなっちゃいます。
AKIさん、も〜AKIさんはホント動物好きなんだから。優しいんだから。おおげさっス。泣かないでください(笑)。私の情けない選択を「良し」としていただきホッとしてます。
アンジェ君が無事に里親さんの元へ巣立っていった今だから、余計にくるんでしょーね。こちらこそAKIさんのアンジェ君日記を読んで泣かせてもらいました。
私の情けない選択を「良し」としていただきホッとしてます。
akinasuさん、発熱イオ君、大丈夫だったでしょーか?そちらのblogを読みました。日常の出来事からアレコレと思いをめぐらすakinasuさんの思考回路というか人間性、私は大大大好きです←あらためて告白。いつもakinasuさんのblogには考えさせられたり、感動させられたり、もろツボにはまってます。
迷い犬についてアナログ広告しか出せなかったその広告主、リアルですね。切ないですね。電話して教えてあげたakinasuさんの勇気と優しさ、あらためて尊敬です!
投稿: ACO | 2007/12/11 15:43:45
心温まるお話です。感動しました。
ACOさんのきめ細やかで、丁寧な人柄が伝わってきます。
必ずのらにゃんにもホームレスの方にも伝わっていると思います。
そして私にも・・素敵な波動ですね。
世の中ののらにゃんと全ての人々が幸せでありますよう。
祈るばかりです。
投稿: pixi | 2007/12/11 16:15:36
pixiさん、すっごくフツーにネコネタ書いたつもりですが、そんな、感動なんてされちゃって、どーしましょって感じです。かえって申し訳ないってか。とにかくアリガトーございます。相手に伝わらなくてもイイんです。私のはなんつーか、自己満足みたいなもんで。ダメダメです。
投稿: ACO | 2007/12/11 17:38:37
ACOさん、本当に優しい方ですよね、改めてそう思いました(;_;)
ウチの母親もそうですが、猫好きはとことん猫好きですね。
でも虚勢手術まで受けさせてあげることとか、ホームレスのおじさんに声をかけて、ホカロンまで提供してあげることなんて、普通じゃなかなかできないことですよ!ステキです!
猫ちゃんたちもおじさんもこの冬を乗り切れますように~
投稿: oyazu | 2007/12/13 12:14:37
oyazuさん、相手に対してストレート、じゃなく、全てはネコのため、なんですよ。
人として、とてつもなく不健全。
この男性も、ネコのために行動してる。
お互いに、ネコのために、人同士が繋がってる。笑
投稿: ACO | 2007/12/13 17:44:31
>全てはネコのため、
あー、そうか~!
ネコ好きな人ってとことん好きですよね。あまりそうでない人間にはよくわからない世界・・・
ウチの母親も大のネコ好きで、向かいの家のネコ6~7匹が庭に遊びに来てるけど、毎日エサをやって、庭で糞をしてもぜっんぜん怒らないんですよ。^^;
父や私らは呆れてますけど・・
投稿: oyazu | 2007/12/14 1:52:03
oyazuさんのお母様とは話が合いそうですね〜☆
投稿: ACO | 2007/12/14 18:14:13